DECOチョコ(デコチョコ)のすごさを実際に注文して調べてみた
2009-10-27
先日「デザインフェスタ」というイベントで「WebMap magnet」というWeb業界向けのアイデアツールを出展させていただいたのですが、お菓子大好きな女性が多かったためか、製品そのものよりも多くの人の注目を集めてしまったのが、販促用に作ったオリジナルのチロルチョコ、そう。 「DECOチョコ(デコチョコ)」です。
※デザインフェスタでは現在このような販促物を配布してはいけません。
このDECOチョコなるビジネスモデルですが、どういったものなのかを実際にデザインから注文、イベント販促まで行ってみたマーケティング活動の記録をお伝えできればと思います。 結論から言うと、すごい商品ですこれ。
3種類のデザインが1回の注文で作れる
これ、いきなりビックリしたんですが。 てっきり1種類だと思ってましたよ。 なぜ3種類なんだろう?と考えてみたんですが、あげる側の戦略ともらう側の選ぶ喜びを同時に満たすことができる優れたアイデアだと感じました。
あげる側はターゲットを絞り込める
まずイベントにチロルチョコをあげる場合、たいていは大勢にあげることが多いと思います。 低価格で大量に作れますので。
ただ、大勢とは言ってもターゲットにセグメントはあるわけです。 例えば、お年寄りにあげるとか、女の子にあげるとか、子どもにあげるとか(マーケティング用語で”デモグラフィック・グループ”と言います)。 あるいは興味を持っているであろうジャンルごとにあげるなど(こちらは”サイコグラフィック・グループ”)ですね。
3種類あれば、現実的に分けることができるわけですよ。
現に私の場合は「Webデザイナー」と「Webプログラマー」と「データベースエンジニア」に対してWebMap magnetを手にして欲しかったので、以下の3種類のデザインを作ったのですが、これが1つの注文で可能になったのです。 うーん、すごい。
もらう側は選ぶ楽しさ
3種類から選べる、というのは買い物をするときのワクワク感をくすぐられます。 同じ味なんだけども、デザインが違う。 とくに子どもに対しては強力な作用を及ぼします。 単にのっぺらとした1種類のチロルチョコをずらーっと見せられてもあまり興味が惹かれませんが、3種類がカラフルに入っているとそれだけで「え~、どれにしようかな!」といった1つのイベントになるわけです。
あるいはコレクションとして全て揃えてみたい(コンプリート)と思わせる戦略もとることができます。 応用性は思ったよりありそうです。
作り手の気持ちに柔軟に対応したレイアウト画面
今回、私が狙っていたのは自分が企画した商品をそのままチョコのデザインにしたかったので、完全にオリジナルなデザインです。 ですので、Illustratorなどで整ったデザインができていたのですが、普通の人ではそれができません。 では、ショボイDECOチョコになってしまうのか? 違います。
上はDECOチョコ作成サイトの編集画面ですが、見て分かるように画像の貼り付けだけでなく、プリクラのようなフレームが多くの種類から選べ、画像のリサイズや回転、色の変更や文字の埋め込みまで1つの画面でできてしまう徹底ぶりです。 画面ではFlashが使われているのですが、裏にちゃんと画像加工のしくみが仕込まれてます。GDやImageMagickのようなものがあるのでしょう。
完全オリジナルにも対応しつつ、デザインができない人にも配慮された作りになってます。 こういった選択肢を用意しているあたり、よく考えられてるなと思いました。
で、使ってみたのですが非常にストレスもなく使いやすいです。 いちおうサイズの通りに作ったのですが、ちゃんとはまっているのを見るとうれしいですね。
値段は良心的
気になるお値段ですが、45個入りで2,250円。 これに消費税(112円)と都内への送料(494円)が加わって、合計2856円でした。 1個あたり換算すると63.4円になります。
個人的にはもっとするのかなーと思っていたのですが、良心的なお値段ではないでしょうか。
10日後に届いた
発送日ですが、10月9日(金)の夜に注文して、届いたのが10月19日(月)のお昼ぐらいでした。 土日を挟む場合は注意してください。
出来上がりは感動!
できました! 手元にくると感激もひとしおです。 今回のデザインは直線的でアンチエイリアスがかかっていない画像だったのですが、かなり忠実に再現されています。 「QRコードが思ったように仕上がらない」とも思えないクオリティですが。。保険でしょうかね。 ただ、包装紙の微妙なずれは1つづつにあるのでフレームの隅に重要な情報などは掲載しないほうが良いかと思います。
イベントでの反応やいかに?
出来上がったDECOチョコの反応ですが、想像以上でした。 以下に生の反応を掲載してみます
- え?これチロルチョコなんですか?本物の?ありがとうございます~!スゴーイ!(20代女性)
- あれ?これがメインじゃないんですか? こういうマグネットなのかと思ってました。(30代女性)
- あ~!これ知ってる。ゲーセンでもプリクラの写真で作れるんですよ。ありがとうございます。(10代女性) ※「プレチョコ」という機械がギフトショーに出品されていました。
- あ、どうも。(30代男性)
驚いたことに100%のお客さんが受け取って帰ってくれました。 当然かもしれませんが女性に非常に受けが良いです。 歩きながら友人たちとマジマジと珍しそうに見ていた姿が印象的でした。 製品以上に感動してくださった方もいらっしゃって、両方の作り手としては複雑な思いです。笑
またDECOチョコを配ると、その場でしばらく話を聞いてくれることが多いことも分かりました。 珍しいものをもらったということと、やはりチロルチョコをもらったということで「好意の返報性」が働いたものと考えられます。
強力な販促ツールとWin-Win-Winの関係
作り手はHAPPY
DECOチョコをこういったイベントで配ると、チラシなどと比べて何が良いか?
- ビジネス情報(ブランド名、ホームページURLなど)を分かりやすく含めることができる
- 小物であることで見込み客のみなさんが手にとって持って帰ってくれる
- 「チロルチョコ」という老若男女に名の知れた定番商品なので、何なのかをすぐに理解し受け入れてくれる
- 珍しいものなので、もらった人たちが周りに見せたがる
- 食べ物なので、イベント会場ではなく自宅や休憩所まで持っていって包装紙を見る
チロルチョコ株式会社はもっとHAPPY
また、それ以上に得をするのは実はチロルチョコ株式会社。
DECOチョコの側面には大きく「DECOチョコ」と書いてあり「あ、オリジナルで作れるんだ!」ということを受け取った人に伝えることができます。
DECOチョコを配られて興味を持った人は、同じようにDECOチョコを作り、配る。 配られた人はまた興味を持って…という風にどんどん顧客を増やしていくことができるのです。 恐るべしDECOチョコ。
もらった人は当然HAPPY
DECOチョコをもらった人は、相手の思い出の品といった形などで受け取るわけですが、とくにかさばるわけでもなく、食べ物なので食べたら終わり。 包装紙は捨てようが持っていようが自由、ということで気持ちも重くなりません。 側面の「DECOチョコ」が気になったら自分も作ってみる、といった感じですね。
このように、DECOチョコは昔の定番商品の知名度と、昨今のニーズの多様化を見事に融合させた恐るべきビジネスモデルでありました。
欠点はないのか?
褒めちぎってきたDECOチョコですが、欠点がないわけではありません。
今回も販促物として作りながら考えたことがありました。
- 夏の暑い時期には使えない。
- 以外と重量がある。
- DECOチョコそのものを珍しがって、広告に注目してもらえない。
- チョコが嫌いな人には嫌がられる。
こういったところですね。 特にDECOチョコそのものを珍しがられるのは、利点がそのまま欠点になってしまうところでもあるので、いかにして広告に注目してもらうかがポイントです。
この点についてはDECOチョコの知名度が知れ渡っていくと、徐々に広告に注目してくれるようになるでしょう。 まだ珍しがられる時期ですが。
2009-10-27