日本国民は知識の底上げを:「本当は怖いだけじゃない 放射線の話」

2011-04-06

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東日本大震災や福島第一原子力発電所の原発事故など、ひどい状態になってしまった日本。

テレビ、ネット、新聞、雑誌など、あちこちから発信され見聞きする情報にも、デマ・憶測といった、専門的すぎるせいで何を信じれば良いのか、どう行動すれば、どういった話を周りにしていけばいいのか、戸惑っている方が多いと思います。

その中でも一般の日本国民に最も不安(恐怖)を与えているのが「放射能(放射性物質)による影響」だと思います。 放射性物質が出す放射線の何が自分に害を及ぼすのか、どれくらいで、どこに影響が及んでくるのか。 そもそも放射線って、なに?

何事もそうですが、恐怖や不安の元を辿ると、必ず「無知」に行き当たります。

本書「本当は怖いだけじゃない 放射線の話」は放射線に対する無知をなくし、最強の武装である「知識」をつけるための本です。

目次

  • 第一章 放射線は「異常で怖い」ものか
  • 第二章 生命は放射線の海の中で進化した
  • 第三章 自然放射線を浴びて平気なのはなぜか
  • 第四章 生物機能を高める「ホルミシス効果」
  • 第五章 どんなときに障害が現れるか
  • 第六章 こうして放射線研究は進んだ
  • 第七章 原爆の放射線被害とは何か
  • 第八章 チェルノブイリとJCOの場合
  • 第九章 原発から放射線が出ているか
  • 第十章 放射線を活かして使う知恵

正しく知って、正しく怖がる

最後のほうの原発事故の箇所は(事故が起きてしまった今となっては)少々楽観的に書かれており、人によっては不快に感じるかもしれません。

原発の事故が核爆発に繋がるんじゃないか、といった無知もまた、日本人が抱く恐怖の元ですが、なぜイコールではないのか、どういったしくみで原発はエネルギーを生み出しているのかといった知識を得たい方は「今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈1〉」を読むのが良いでしょう。

本書は「放射線というものが自分にとってどういう影響があるのか」という部分により焦点を当てて書かれています。

身の回りの放射線と人体への影響、放射線と宇宙・自然界の関係、放射線研究の歴史、放射線利用のメリットやデメリットなど、身近でありながら多くの一般人にとって未知な「放射線」について、多くの知識を与えてくれます。

福島原発は2011/4/6 現在でまだ予断を許さない状況ですが、本書を読む事で、公表される数値から私たちがどれだけ影響を受ける可能性があるのか、どのような行動を取るべきかが分かるようになると思います。

もし、放射線量を具体的に計測したい場合は、システムトークスさんのガイガーカウンター「GS-SJ1」が他製品に比べてコンパクトで安価なのでオススメです。 この製品ではX線とガンマ線が計れます。

うれしいことに、被災地の公的な団体向けには無償で提供してくれています。 この援助は原発近くで放射線量を気にしながら自宅待機、あるいは避難所生活をされている方にはありがたいですね。

さいごに

よく放射線の話となると、原子力発電推進派が書いたものとか、否定派が書いたものとかで偏ったりしてしまいがちですが、おおむね中立的に書かれていますね。

本当は怖いだけじゃない放射線の話 (WAC BUNKO) [新書]


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2011-04-06