iOS6のマップ変更にみる、Appleのぶれないコンセプト

2012-09-29

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すでにiOS6のマップの酷さを体験してショックを受けている方々もおられることと思いますが、ここでは心を落ち着けて聞いて(読んで)いただきたいと思います。

なぜiOS6のマップが酷くなったのかは、様々な所で語られているので省略するとして…私はAppleが世界一の会社に上り詰めた今でもまだチャレンジを忘れていないことに感心してしまいました。

Appleは「今は失敗だろうが、将来きっとユーザーのみんなは分かってくれる」という妙な自信を持っています。 ショックを受けている人たちにとっては可哀想な現実ですが。 アップル – マップについてのTim Cookからのメッセージ

かつて、同じような出来事をAppleは経験した

Appleにとってこのような失敗は初めてのことではありません。
iPod、iTunes、iPhone、iPadといった製品の快進撃で忘れ去られつつありますが、かつてAppleはOSを全く新しく置き換えて、旧ユーザーを置き去りにするという、チャレンジングなことをやっています。

当初の反感は今のマップ問題以上であったかもしれません。
ジョブズはキーノートスピーチの中で、旧OSであるOS9を棺桶の中に入れるという、暴挙(?)を見せつけました。 当時、全く不安定で対応アプリも少ないOSXを忌み嫌っていたOS9ユーザーの私は「へっ?」と呆気に取られたのを覚えています。

“宇宙に衝撃を与える”ため

Appleは先に進まなければならなかったのです。
「ユーザーのため?」 いえ、「宇宙に衝撃を与え続けるため」です。

これはAppleの企業コンセプトとなっているのですが、Appleはユーザーの役に立つ製品やサービスを作ることで「見たか宇宙!」と宇宙に対して衝撃を与えることが目標になっているのです。真剣に宇宙人にアピールしているのかもしれません。

望むものを聞いてそのまま与えるのは「愚」である

革新的な製品を開発する場合、顧客に意見を聞くことは愚であると言われます。
フォード社の大ヒット車であるT型フォード開発の事例が良い例でしょう。

もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう。
-ヘンリー・フォード-

顧客の意見に耳を傾けてばかりいると、あらゆる規制でがんじがらめになったつまらない製品・サービスが出来上がるのです。

人は、自分が本当に望むものに気づいていないことが多い。
Appleはそこを分かっているからこそ、ユーザーに引っ張られません。 むしろキリストのようにユーザーを後ろに率い「道は険しいが、付いてきてくれるな?」と宇宙に対してメッセージを発信しつづけるのです。

まるで宗教。
そう、Appleがやっていることは、ビジネスを絡めた独自の宗教活動なのです。
そういう意味で、今回のマップ騒動に対しても「うん、Appleブレてない」と確信を持って私は思うことができました。

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2012-09-29