歳を取るとなぜ時間が早く過ぎるのか?

2011-08-02

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「子供の頃は1日が長く感じられていたのに、最近はあっという間に1年が過ぎるように感じる」という経験をみなさんもしたことがあるでしょう。

以前、Webサイト制作者向けの雑誌「Web Designing」で「わざと普段歩いたことのない道を歩いたりすると脳が初めての経験として感じ、時間を長く感じることができる」というような事が書いてありました。

逆に考えると、毎日通っている道を歩いているときは「慣れ」で無意識に行動しているので、脳がその時間を記憶しないため、それだけの時間を費やしたことを忘れてしまうと言えます。

これが時間が早く過ぎるしくみなのかと何となく思っていましたが、このことをさらに詳しく深刻な問題として取り上げている本がありました。

それが今回紹介する「考えない練習」(著:小池龍之介)です。 小池さんは東大を卒業してお坊さんになり、世田谷区内のオシャレな住宅をお寺として構えるという、かなり異色の経歴の持ち主です。 近いのでちょっと遊びに行ってみたいです。笑

脳って…考えすぎると不幸になるように出来ている!?

さて、その「考えない練習」という本ですが、なぜ考えることが良くないかという事が序盤に書いてあります。 その前提がすごい。

それは「まず、脳というものは常に刺激を求めるものであり、それが脳の持ち主=本人にとってポジティブなものかネガティブなものかという事にはまったく関係がないという恐るべき前提がある。」ということなのだそうです。

例えば、今の目の前の出来事や行動の刺激に比べて、昔の楽しかった思い出や不幸だった記憶を思い出すほうが脳にとって刺激的だった場合、脳は昔の刺激のほうを好んで思い出してしまうということなのです。

見に覚えのある方も多いでしょう。 過去の恋愛や学生時代の楽しかった思い出など、もう執着せずに生きていかなくてはいけないのに、今の目の前の相手との話や物事がつまらないと感じると、すぐにその事を思い出して時間を浪費してしまうことが脳が本来持つ性質だというのです。

「考えない練習」では小池さんの言葉でそのことが「ノイズ」として表現してあり、より短時間の間に頻繁に起こっていると説きます。

一秒の間人の話を聞いていても、そのうち0.1秒は聞いていても、残り0.9秒は、「相手が自分をどう思っているか」という思考や、過去のノイズが残響していて、五感が鈍り、ぼんやりとしているのです。
これを続けますと、10秒のうち九秒は実感が消え、60分のうち54分は実感が抜け落ち…、やがて年をとってから過去を振り返りますと、「なんだか数年があっという間に過ぎた気がするなあ」となることでしょう。
思考という、現実そのものに直結しない妄想にふけった報いとして、実感がスカスカになり、幸福感が損なわれるのです。
多くの方が年をとるにつれ「最近は年月が早く過ぎてゆきますからねえ」という話をするようになる元凶は、現実の五感の情報(データ)を、過去から後生大事に蓄積してきた思考のノイズによってかき消してしまうことにほかなりません。

過去の思い出を繰り返す人は要注意!!

この思考がさらに深刻になっていくと「呆ける」という症状が現れてきます。

過去のデータのみに完全に支配され、新しい現実が全く認識できなくなるため、自分の孫を見ても、自分の子どもと思い込んでしまい、それを修正できなくなったりするのです。
それらすべての大本は、「眼の前の現実はフツウすぎてツマラナイ、ネガティブな考え事は刺激的」ということ。 新たな刺激を心に与えるために、思考はネガティブな方向へと暴走してゆくようにプログラムされているのです。この「思考病」、思考という病にかかりながら、少しずつ知らず知らずのうちに「無知」になり、呆けていっているということ。それを知れば、おいそれと心のなかで無駄なおしゃべりをぶつぶつ続けていられなくなることでしょう。

周りにいませんか? やたらと過去の栄光(仕事や遊びなど)を繰り返し話したがる人が。

彼(彼女)はその時、完全に過去のデータのみに支配されている=呆けているということになります。 つまり、現実を認識していないということです。

これは一種の痴呆症に繋がっているのではないかと思います。 昔のことは覚えていて何度も話すのに、最近の出来事や今の目の前の出来事が正常に認識できないのとそっくりですよね。

避けるには考えすぎないこと

この危機を回避するためには、本書のタイトルでもある「考えない練習」をすることが重要だと説かれています。 脳の本質は「自分のためにならないことを平気でやるもの」だということを認識し、今目の前に起こっていることをちゃんと五感で捉え、今が昔よりも刺激的になるように行動することです。

そう考えて行動すると、毎日が楽しいものになっていきそうですよね?

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2011-08-02