37signals「強いチームはオフィスを捨てる」レビュー
2014-02-02
Web業界の超エリート集団「37signals」が提唱する「リモートワーク」の具体的なやり方を説いた素晴らしい本が出ました。
「ノマドワーク」と似たような響きですが、意図は全然違います。 リモートワークは、社員や外部スタッフに、本人にとって最適な場所で働いてもらうことにより、パフォーマンスを最大限発揮してもらう方法。
私も彼らと同様のジャンルの職業に就いているわけですけども、私自身がまさにスタッフを選考して雇い入れてチームを率いていく立場になり、どうやって「仕組み化」していこうか思案してる最中なわけです。
「仕組み」で遠くにいるメンバーをやる気にさせる
正直言うと私の場合「事務所に来てもらって一緒にやってもらおう」と思ってました。
事務所に行かなくて済む「リモートワーク」よりも、事務所に行ったほうが捗ると思ってましたから。
家に居ると自分自身を甘やかすし、見られてないことで嘘もつきやすくなるし、ネコも来るし…私自身、こういった誘惑の強力さを嫌というほど実感して分かってますからね。
しかし本書を読むと、本人の心構えを改善することで上記の欠点は解決できるってことが分かります。
他人の心なんて簡単に変えられないと思ってしまいますが、そこを適切なツールと仲間への気遣いの仕組み化を行うことで37signalsは上手にやる気にさせ、乗り越えてきた例が紹介されています。
リモートワークの欠点とその克服方法が具体的
本書の良い点は、良い事ばかりじゃなくて欠点もちゃんと書かれてあることです。
37signalsの創業時からリモートワークを実践している同社は、リモートワークの利点や欠点を身をもって実感しているわけです。 その上でどうしようもないことを回避する方法、なんとかなることを解決する方法をちゃんと書いてくれてる。
まぁ、その中で同社の主力商品であるBaseCampを使うとバッチリ進捗把握できるとか、さりげなく宣伝もされてるわけですが、ソフトウェアに関して言えばGitHubとかBackLogなどの代替案もあるので、そこは読者が自分に合ったものを選べば良いかと思います。
37signalsほどの企業ですから、仕組み化でガチガチにしてるんじゃないかと想像してましたが、非常に人間的で好感が持てる管理方法でした。 と同時に「やっぱそうだよねぇ~」という納得感ですっきり読み終われた感じです。
業務に支障をきたさない状態でこれからリモートワークを始めるにはどうすればいいかや、新しくリモートワークしてもらうスタッフを雇う場合の具体的なステップなど、同社に培われてきたノウハウが語られているので非常に説得力がありますね。
何よりリモートワークする人を「コスト削減のための労働力」ではなく「優秀な人材に貢献してもらうための最良の方法」として捉えているところがステキ。
まずはIT業界からこのリモートワークを実践して満員電車を無くしましょうか!(笑)
2014-02-02