池上彰の「伝える力」をプログラマーが読んでみた。
2011-12-31
ご存知テレビで大人気の池上彰さんの人気著書。 日本を代表する知識人が書く、日本のビジネスマンとしては押さえておきたい1冊。
池上さんって2011年3月でテレビの世界から足を洗う旨のニュース記事を読んだんですけど、テレビに引っ張りだこで出演されてますね。
個人的な感想ですが、日本の現状を憂い、現代の日本人に危機感を伝える思いで引き続き出演されてるんだと思います。
「週間こどもニュース」で叩き上げられた理解力
本書を読んでいて強くうなずいたのが「深く理解していないと分かりやすく伝えられない」という部分。
池上さんは「週間こどもニュース」で子供たちにニュースを伝える際に鍛えられたそう。 NHKでずっとキャスターをやってたプロフェッショナルでも子どもに多くを教わるというのが面白いところ。
例えば日銀の解説で「発券(ハッケン)」や「市中(シチュウ)」という意味から子供たちに説明しないといけなかったそうで、かなり子供たちに突っ込まれていたそうです。
たしかに「分からない人に教える」という行為は自分の理解力を鍛えるのに格好のチャンスだと断言できます。
自分の体験談を1つ…
私もITの知識を専門学校生に教え始めのころは「こんな説明でお金をもらっていいのだろうか…」というレベルでしたが、経験を積んでいくうちに自分の教え方に変化が現れたのを覚えています。
その変化というのが、生徒さんの理解力に応じてこちらの例え話を変えたり、教えながらイラストを描いて伝えたりすることで生徒さんたちの理解力が上がっていったというものです。
また、質問には適切に答えないといけないので教科書で適当に流されている曖昧な点を、どんどん自分で調べて潰していくこともやりました。 マニュアルを読んで意外なショートカットを覚えたりとか。
基本を押さえると仕事が捗る
こういう行為って仕事をしている現場でもなかなかやらないんですよね。
社内やネット上に既成事実があると時間がないので疑問も持たずに受け入れてしまいますからね。
その結果、基礎的な知識がまだらに身についてしまって応用力が欠けたり、トラブル時の解決が遅れてしまったりします。
→の基本情報技術者試験に出てくるような、基本的だけど、現場のIT技術者が以外と知らないような質問が突然飛んできたりもしました。
今考えると、自分が生徒さんに学んでいたのは間違いありません。
教えるという行為はコミュニケーション能力も上がるし、仕事を迅速に進める上でも重要なものなんだと実感したものでした。 まだまだ力不足ですが。
いまここを読んでいる人で「教えるの面倒くせぇ」と思っている人は結構損をしているかもしれませんよ。
豊富な体験談から語られる揺るぎのない語り口
元に戻って…本書では池上さんは自分の体験談を中心に「コミュニケーションとはどうあるべきか」という王道を語ってくれています。
王道だけに「それ知ってるよ」という箇所も登場しますが、他人から聞きかじった言葉ではなく、自分の経験によるノウハウなので説得力はあります。
主に30代から下の世代に向けて書かれた本なので、このブログの読者ならまさにターゲット層かと。
800円で駅のキオスクで購入して3時間くらいで読み終わったので、暇な帰省中の移動にもピッタリでした。
さて、今日は2011年の大晦日。18時から7時間半に渡って2011年を振り返る「学べるニュース」が始まりますが、磨きがかかった池上さんの語り口を堪能してみたいと思いますー。
2011-12-31