プログラマーが「『はやぶさ』式思考法」を読んでみた。
2012-05-04
みなさんご存知のように、奇跡の成果と帰還劇を果たした小惑星探査機「はやぶさ」。
ソフトウェア技術者として「どうやって様々なリスク回避をこなしたのか?」という点に興味を持って読み始めたわけですが、良い意味で裏切られました。
プロジェクトの根底にあったもの
何なのかというと、そのほとんどが根性で乗り越えたということ。
もちろん技術の超エキスパートが集まっているので、様々なテクニックが駆使されているわけなんですが、その根底には「やってやる!」という根性が最後まで尽きなかったことにあったわけです。
その理由として、著者である「はやぶさ」プロジェクトマネージャーの川口教授の「劇場型」プロジェクト運営方法が多大な影響を及ぼしていたのです。
これを一言で簡単に言い表せないかな~と悶々としていたんですが、一つ思いつきました。
成功の理由は「学校の○○○のノリ」だった?
それは「学校の文化祭(あるいは体育祭)のノリ」。
あの妙な高揚感による目的意識の共有。 運営から外れた生徒からみた、嫉妬を感じざるを得ないほどの運営メンバーのキラキラした眩しさ。
私? 私はもちろん部外者でしたよ(^-^)
…それは置いておいて…
ビジネスプロジェクトに関わらず、あらゆるものの成功の原則の1つにこの「ノリ」が関係してるんじゃないかと思うわけです。
この「ノリ」を作り出せたプロジェクトは、メンバーの可能性を120%引き出すことで、ほぼ全て成功させることができる。
無理だと思ったことも、キラキラした根性でなんとか乗り越えていける。
「はやぶさ」プロジェクトはまさにこのノリを纏ったプロジェクトだった、ということです。
はっきり言って「はやぶさ」のスペック(仕様)は妥協の産物。
みんな時間がない中でどんどん決断していかなければならない。
たとえ技術で可能でも期日が間に合わない技術は容赦なく切っていく。
機械が出来ないことは人間が代用するしかない。
しかし、大きな副産物がありました。
その苦難を経験していく中で劇場型の「ノリ」が形成されていったわけです。
この作り方が川口教授は抜群にうまかった。 そのコツはぜひ学ぶべきです。
単なる技術的なノウハウを期待して読んだ私は、その意味で、いい意味で裏切られました。
うん、良い本でした。
2012-05-04