本当の患者向けによく出来てる本「パニック障害なんてこわくない!」
2012-06-02
本書「パニック障害なんてこわくない!」は、かつて実際のパニック障害患者であった著者、ベヴ・ヘイズベットさんによる、本格的なパニック障害対策本です。
未体験のカウンセラーには分かりにくい患者の心情
経験したことのない医師やカウンセラーによる分析よりも、実際に患者であり、それを克服した経験を語ってもらったほうが遥かに信用できるということが、本書を読むとよく分かります。
私も実際、満員電車には乗れないが、飛行機には乗れるくらいの閉所恐怖症もちです。
該当者にとって本を読む上で気をつけたいのが、読むことで症状が重くならないようにすること。
この本はそういった患者の心境をよく分かっているようで、症状が進んだらどうなるかといった煽りの表現が皆無です。 言葉にすると難しいですが、重度の患者にも使える一方、軽度の患者にも過剰な恐怖を与えることの無いように作られています。
ですから、読んでいて安心なのです。
また、著者によるページの多くに描かれているイラストが的確。
文章による表現だけでは伝わらない意図を「イメージ」を多用することにより、直感的に伝わるように作られています。
パニック障害というものを自分の中に生まれた怪獣として表現する様は秀逸!
捨てずに持っておきたい
この本は一回読み通して「ハイ終わり。」というようなものではなく、最初から読み始めて自分ができると思うところまで実践、克服できたら次を実践、というような正に「カウンセリング本」とも言えるような構成になっています。
ですので、読んですぐ売ったり捨てたりしてしまうのではなく、普段の生活の中で定期的に読み返しながら治療に使っていく本として扱ってください。 実際に多くのカウンセラーやセラピストの間で推薦図書として指定されているそうですので。
2012-06-02