HTML5サイトを作らずにはいられない。「HTML5&API入門」

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まさにHTML5イヤーとなる2010年にふさわしい本が出たという感じ。 「HTML5&API入門」はHTML5を学ぼうと思っているWebデベロッパーにとって、現時点で最高の福音書になるでしょう。

この本はHTML5の仕様説明に留まらず、実際に「使うもの」としてAPIの解説にまで踏み込んだ、HTML5を利用して実用的なWebアプリを作りたいと考えている人にピッタリの本です。

新しいことを学ぶときに大事なこと

よく「新しい技術や知識を学ぶ場合に重要な事は何?」と聞かれることがあるのですが、私は決まって「モチベーションをいかに維持しながら学んでいくかが重要だよ」と答えています。

Web知識の初心者に限らず「ああ…また新しい技術だよ…いい加減にしてくれよ…」とウンザリしながら入門書を読んだことのある人もいらっしゃると思いますが、そういう姿勢で読むとなかなか頭に入ってきませんよね。

本書はこういった学習のハードルを下げることを、かなり意識して作られています。

実用的なサンプルを紹介しながら学ばせてくれるワクワク感

本書の醍醐味は、前半の「キャンバス」「Video&Audio」「リッチテキスト編集」といった目に見えるHTML5の仕様部分ではありません。 むしろ見えないAPI部分に本当の力が隠されているのです。

本書ではこの点をかなり意識して書かれており、それが後半のHTML5のWebアプリケーションAPIにまとめられています。

JavaScriptは知識として持っておくこと!

先に断っておきますが、HTML5を学ぶにあたってJavaScriptを無視することはできません。 HTML5はWebアプリケーションを構築するプラットフォームとして作成された規格であり、その内部はJavaScriptでコントロールすることを基本としています。 最低限、基本的なJavaScriptの知識は得ておくことをオススメします。

適度なサンプル容量で戸惑わない

JavaScriptをご存知のみなさんは本の後半でニヤケっぱなしになることは間違いありません。

本書は各所に実用サンプルが埋め込まれているのですが、実に軽量なサンプルで分かりやすく見せてくれます。 しかも、前章で学んだことを元にして新しい章で学ぶ方式を採用しているので、自然と前章の復習にもなっているところが秀逸ですね。

こういったレッスン形式の入門書では最初に躓いてしまうとあとがグダグダになりやすいのですが、HTML(XHTML)とJavaScript(DOM操作など)の基本的な知識を持っていれば、迷うことはまずないでしょう。 それくらい分かりやすく書いてあります。

もはやFlashは要らないと思わせるAPI群

後半のHTML5のAPI紹介では次のような魅力的なAPIが次々と登場してきます。

高スペックの機能ではまだFlashに軍配は上がるものの、以下の「第3部」を読んでいくと手軽にリッチアプリケーションを構築する点においてFlashは将来ホントに要らなくなってくるのではないかと思わせます。

第3部 Webアプリケーション作成用API

  • 第10章 コミュニケーションAPI:異なるウィンドウ同士で情報をやりとりするAPI
  • 第11章 オフラインWebアプリケーション:プログラムデータをキャッシュさせるAPI
  • 第12章 Web Storage:オフラインアプリとして必須のローカルへのデータ保存API
  • 第13章 Web SQL Database:SQLiteを利用したローカルSQLストレージの使いかた
  • 第14章 Web Workers:バックグラウンドプロセスを作ったりできるAPI。スレッドとかできる
  • 第15章 Web Sockets:サーバーとリアルタイム通信してチャットアプリが作れるAPI
  • 第16章 Geolocation API:GPSと連動して位置情報を利用したアプリが作れるAPI
  • 第17章 Server-Sent Events:サーバー側からプッシュされた通信データを受け取れるAPI
  • 第18章 その他のAPI:バイナリーデータが扱えるFileAPIや、激しくバージョンアップしたXMLHttpRequest Level2などの紹介

これを見ただけでも分かると思いますが、非常に強力な機能が揃っており、しかもそれを非常にシンプルに利用することができるようになっています。 終始私はニヤケっぱなしで読んでました。

iPhone, Androidへの適用を意識

もうひとつ伝わってくるのは、これらのAPI群を揃えたHTML5は間違いなくiPhoneやAndroidなどのスマートフォンを非常に意識して作られているという点です。 なにしろ、HTML5自体、AppleやGoogleによって仕様が考えられている規格ですから。笑

「プログラムをローカルにキャッシュさせ、SQLでデータ管理を行い、必要最低限に外部ネットワークとコミュニケートする」。 まさにスマートフォン向けという感じです。

一生懸命理解させようとする姿勢がステキ!

本書を読んでいて終始感じることは「なんとかHTML5を分かってもらおう」という熱い気持ちです。

それが正直に表れているところが「コミュニケーションAPI」の章。 ここはその他のAPI群の中でもおそらく一番理解するのに頭を使う箇所だと思います。 とくにポートの理解の箇所ですね。

本書はこのポート部分を後の章でも何度も出てくるため「ここでなんとか覚えてね!」と言わんばかりにいくつものサンプルを登場させて「これで分かるでしょう」「これなら分かるでしょう」という感じで教えてくれます。 他の技術書の著者さんたちも、この姿勢は是非参考にしてほしいところです。

CSS3は潔くカット

本書はHTML5とAPIに特化した内容のため、次世代のデザイン規格であるCSS3の解説は入っていません。 その潔さが本書をよりアプリケーション開発者向けにしていますが、個人的にはCSS3を含めて内容が薄まってしまうよりは、むしろ良かったのではないかと思います。

記念すべき初の日本語HTML5本

以上、簡単ではありますがレビューさせていただきました。

これまで、ネット上やWeb & DB PRESS などの紙面でHTML5を取り上げた情報は多くありましたが、専門の書籍が、しかもAPI部分まで親切丁寧に解説してある本がようやく出版されました。

HTML5を多くのデベロッパーが意識しはじめる初期段階にこのような良書が出たことは日本のWeb業界においてすばらしい宝物になるのではないかと思います。 まだHTML5の詳細な仕様は変更される可能性はありますが、著者である白石 俊平さん, 監修の株式会社あゆた様には引き続き第2版、3版と続けて行って欲しいと思います。

HTML5&API入門 [単行本(ソフトカバー)]
HTML5&API入門 [単行本(ソフトカバー)]

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2010-03-17