伝記「スティーブ・ジョブズ I・II」を読んだプログラマーの感想

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ようやくこの週末を使って、スティーブ・ジョブズの伝記を前編・後編通して読み終えた。 周りよりけっこう早いほうかもしれない。

率直な感想は「ものづくりに関わる者は、この伝記を避けることは許されない」とも言うべき名著だったと断言できる。

本については、よくメディアが話題性だけを取り上げて売り上げを伸ばすマーケティング活動を行うことがあり、本書の発売も彼(スティーブ・ジョブズ)の死期と近かったということもあって、当然のように話題になった。(講談社が巻いた帯に嫌悪した人もいるだろう)

そういうのに乗せられて買うのはあまり好きじゃないし、ここを読んでいる人もそう思って迷ってるかもしれない。 でもこの本は流行りに乗せられてもいいから読むべきだ。 しかも、できるだけ早く。 まさに「乗るしかない!このビッグウェーブに!」である。

もの作りの格言の数々

スティーブ・ジョブズほど、体験を通じてモノづくりの格言を実証していった人物はいないのではないだろうか…と本書2冊を読んで思った。

本書にはモノづくりの情熱が有り余りすぎて突進し、あちこちにぶつかっては血を流すような仕事ぶりのジョブズをサポートするように、多くのメンターが登場する。

過去の偉人もいれば、いっしょに仕事をしていた人物もいる。 それらのアドバイスを真に受けて失敗することもあれば、断固として拒否し、失敗する例も多く登場する。

そして彼は徐々に直感力ともいうべき大局観を得ていくのだ。

デザインとエンジニアリングの交差点

プログラマー視点(エンジニア視点)で読み進めていった私は、ジョニーアイブ&ジョブズ VS エンジニアリングチームのせめぎあいを最も楽しんで、しかし真剣に受け止めつつ読んだ。

私自身、大学時代はDTPとWebデザインばかりやっていたし、周りの友人にもデザイン畑の人たちが沢山いて、デザインとエンジニアリングの狭間で仕事をする人間だからだ。 今でもデザインの仕事を行うこともある。

製品の開発のたびに勃発する激しいやりとりは、人間とモノの関係とはどうあるべきかという原理、つまりApple最大の魅力のエッセンスを世の中に伝えてくれる。

この辺りなどは人類の宝とも言うべき内容であり、感嘆すると同時に「ここまで書いてしまってAppleは大丈夫なのか…」と心配にもなった。

具体的なプログラミングの手法などといった部分は本書には登場しないが、あの素晴らしい製品やソフトウェアに関わる人間たちの奥底にはどういった信念があるのか、自分に当てはめるには何を重視すればいいのかが自然に分かってくると思う。

Think Different Early

本書はAppleとジョブズを中心とした伝記ではあるけども、私にとっては「自分が一生をかけてやりたいこととは何だろうか」ということを探すための教科書とも言える内容だった。

そしてそれは時間との戦いであるということも分かった。

本書は過去の錚々たる偉人伝に引けを取らない伝記であるだけに、楽しんで読むこともできるが、クリエイティブな方々にはぜひ開発側の視点も持って、自分のこれからの人生に置き換えながらじっくり読んでもらいたいと思う。

日本の読者にとっては、ジョブズが多くの点で日本をメンターとしていたことにも衝撃を受けると思う。 日本のモノづくりをよりよいものにしていくきっかけが自分たちの足元にあることも忘れないようにしたい。

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2011-11-07