書評「成功しちゃう『人脈』はじつは公私混同ばかり」

2010-04-02

koushi_kondou.jpg

以前読んでいながら、レビューを書いていなかったので。

これ、まずタイトルが秀逸ですよね。 「じつは~」と書きつつ、みんながビジネスの世界でタブーにしている「公私混同」を持ってくる点。 思わずニヤッとしてしまいました。

公私混同が当たり前だった昔

そもそも、どうして「公私混同」がこれだけタブー化してしまったのか。

数年前までよく読んでいたWeb DesigningというWebクリエイター向けの月刊誌のコラムで、その理由に近い内容が書いてあったのを今でも覚えています。

それは「昔に比べて皆の働く場所が変わったからだ」という理由でした。

江戸時代ではモノづくりの場所や商店(今の企業も含まれます)は自宅、または自宅に隣接しているところがほとんどでした。 そのため、仕事相手やお客さんをよく家に招き入れて食事などをすることで、相手との親睦を深めていたのです。 まさに「公私混同」ですね。

それが今や、働く人は毎日電車に乗り、遠くにある会社という場所で日常生活とかけ離れた別世界の集団生活を送っています。 プライベートな話題は気を使って避けることが当たり前となり、仕事仲間であっても自宅に招いたことさえない。 それが今の一般的な働き方です。

人との深い繋がりが本当の人脈を作っていく

そこで本書の登場なのですが、正直この本を読んですぐ実践しても、すぐに「成功しちゃう人脈」が手に入るわけではありません。 数日でゲットできるような軽い人脈作りの方法は他の本で十分間に合ってます。

長距離走の人脈作り

人脈作りを走ることに例えると、この本は「長距離走」の人脈作りの本です。
短距離走タイプの即効性のある人脈作りのテクニックも当然必要ですが、大事なのは一生モノの重要な人脈をいかにして作り上げていくか。 この本ではそこに重点が置かれています。

渇望して得た人脈は長続きしない

あこがれの人に潜む落とし穴

短距離走的な人脈づくりの代表といえば「損得勘定」の人脈作りです。 自分の周り、あるいは遠い憧れの人となんとかお近づきになって、利を得ようとする行動です。

こういった姿勢は相手からすぐ見抜かれ、その利はますます遠ざかっていきます。
アポイントはないがしろにされ、同じ目的で群がる「その他大勢」の中に埋もれていきます。 あなたはそうならないように必死で頑張ろうとしますが空回りしつづけ、やがて疲れ果ててしまう…

身近な友人を大切に

この本は上で挙げたような人脈を作っていくのではなく、自然に仕事や生活をしていく中で出会った人とWin-Winの関係を作って人生を充実させていくかが書かれています。 その場の損得で態度を変えるような事は勧めていません。

ですので、即効性(即利性?)はないものの、ほとんどの人にとってすぐ行動に移すことができる現実的なアドバイスが豊富に掲載されています。

ビジネスとプライベートを分けるのは不可能

この本に書いてあることで、もう一つストンと腑に落ちた内容が「人はそう簡単にビジネスとプライベートを適切に切り離せるものではない」ということ。

家で嫌な事があったら仕事でも引きずってしまうし、逆に仕事で嫌な事があったら家でもそのことを悶々と考えて過ごしてしまいますよね。 脳は1つしかないのに、その中を精神的なパーティションで区切って生活することなど出来ないのです。

だから、仕事場でも家庭でも無理してスイッチしようとせず、自然体で行動したほうがストレスもないし、相手とも本音で付き合えます。 このほうが遥かに健全ですよね。

自分が作り上げた「社会的な自分」に疲れてしまった人にとっても目から鱗の内容が出てくると思います。 恥ずかしながら私自身もそうやって自分自身を過大に見せ、評価を得ようとしていた時期がありました。

ハゲとアフロ

koushi_kondou2.jpg

あと、面白かったのが挿絵。 花くまゆうさく氏のユルく笑えるイラストで、ハゲくんとアフロくんがひょんなことからセミナーで出会い、公私混同しながら起業して大成功していく過程がところどころに入ってます。 まさに本の内容を噛み砕いて抽象化させた絵になっていて、その章ごとのシンボルイラストになってます。 表紙にもかなりのインパクトで登場してますね。

まとめ

非常に読みやすく、本のボリュームも多くないのでスッと一日~二日で読めてしまいます。 人脈作りをしていながら、背後に「自分はこの人脈をすぐ失ってしまうんじゃないか」というような恐怖感を抱いている人にぜひ読んで欲しい本ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

2010-04-02