「読む・考える・書く技術」レビュー
2010-04-03
最近、常々「書く」技術がこれから重要だと思っていたので買ってみました。
米国公認会計士でもある午堂登紀雄氏が、これからの時代は文章によるアウトプットが重要であると説いた文章術の本です。 wikipediaでプロフィールを調べようと思ったのですが、載っていないんですね。 けっこう意外でした。
文章術についての本は「文章力の基本」「日本語の作文技術」などを読んできましたが、いくら書き方が分かっても「人が読みたくなる文章」が書けなければ意味がありません。
本書は、どうしたら人に「読んでよかった!」「そういう視点があったか!」といった、感動させる文章を書くための方法を中心に書かれてます。
気になったポイント
読んでいて気になったポイントを挙げておきます。
「コンテンツを生み出す『情報編集術』」より
「メタファ力(比喩力)」を鍛える(P46)
茶道で茶筅を置くときの表現を「別れ際に恋人の手を離すときのように」と書くことによって、読者に直感的に理解してもらえるようにする。
「コンテンツを生み出す『発想術』」より
従来の固定観念や先入観を壊し、従来にない発想をすること。(P66)
例として「寒天を今の10倍売るには?」という目標を取り上げ、「食べ物である」という概念を取り払ってみる考え方が紹介されています。
「そもそもなんでそうなってるんだっけ?」を考える習慣をつける。(P77)
前提条件を取り払って書くと意表をついたネタになることがあります。 本書では、どうして仏滅に結婚式を挙げてはいけないかといった習慣を取り上げています。
発想は5つめからが面白い~オプション発想(P81)
みんなが考えつく項目を列挙した上で、さらにプラスアルファの項目を捻り出す。 身近な例でいうと「電車の座席は真ん中に座らないと損!」など、「えっ?」と思うようなことを書いてみる。
もちろん、客観的な視点で正当な理由も書かないといけませんが、目を引くことは間違いありません。
「読みやすく書く工夫」より
「自分の人生を映画化したら、何人の観客を動員できるだろう」と考える。(P145)
映画などの人気作品の醍醐味は、主人公が逆境を乗り越えて成功するところにあります。 あなたの今が逆境の時だったとしても、後でそれが物語を盛り上げるためのスパイスとして作用します。 主人公が「諦める」ことをしなければ、最後にはハッピーエンドになるのです。
「快適に書くツールを用意しておく」より
Wordの見出しマップが便利!(P160)
記事を書く際に参考になるWordの使いかたが紹介されていました。Wordって今まで記事書きに利用したことがなかったんですが「見出しマップ」の機能はかなり便利だと思いましたね。 さっそく利用してみたいと思います。
「出版があなたの世界を変える!」より
記事を書くと、自分の苦手分野など書けない箇所が出てくる(P178)
ブログを書いていると、「経験不足で説得力がないな」「知識が少ないな」といった、自分に欠けている部分に気づくことができます。
良いビジネス書とは何か?
「読者の思考体系が変わり、読者を行動に駆り立てる本」「難しいことを易しく書くこと」など、内容の質を考えるにあたって目指す目標が明確になっています。
自分の成長以上のブームが起きると、タレントや芸人に見られるように、 メディアに消費され、その反動は恐ろしいほどの急降下をもたらす。(P198)
これは勝間和代さんなんかが当てはまって来てるんじゃないかと思いますが、彼女を批判する人や本が多く出てますよね。 内容が陳腐化しているとか、売るためだけに啓発書を書いているとか。
彼女がTVへの出演を控え始めているのには、そういった警戒感を自ら感じている部分もあるのでしょう。
「書くことは自分の器を広げる」より
人は、情報によって自分の枠を作り、その枠に入る情報のみを受け入れます。 その枠に入りきらない情報には、反発したり、必要がない理由を探そうとしたりします。 情報はアカのように脳内に溜まり、それが固定観念や先入観となって、自分を 閉じ込める枠になってしまう。(P248)
この一文には「ドキッ」とさせられました。 自分に理解できないこと、納得できないことには拒否反応を起こして思考停止してしまう。 そうならないように、書くことによって情報のアウトプットをし、そういった固定観念を洗い流してしまうようにしましょう。
おわりに
とりあえず自分がパッとメモった部分を抜き出してみましたが、書けなかったところにも沢山の書く技術が載っているので読んでみてください。
全体的に、書くことによって自分自身の成長を促すことに重点を置いている本だと感じました。
小手先のテクニックではなくて、自分の中にあるものをどううまく捻り出していくか。 さらに捻り出すことによって自分自身というものを自覚し、その後の価値ある行動に繋げていくか。
前半はそのための短距離走的なテクニック、後半は長距離走的なテクニックといった感じでしょうかね。
良書です。
2010-04-03